夢乃時の夢日記

妄想の結果妖夢総受けこそが正義だったんだよ

貴女と逢い引き

「はぁ……」
 丁度、朝の3時頃。
 私はお嬢様と妹様が寝たのを確認してから紅魔館から外に出て、霧の湖辺りで人を待っていた。まだ日は沈んでいるが、彼女は日中に仕事がある身。対して私は夜に仕事があるのだ。こうでもしないと会える機会など毛頭ない。彼女に無理を強いる事もあるが、私だって仕事の疲れがある。同じ位の無理を承知で私達は付き合っているのだ。それでも会えさえすればこんな『無茶』なんてどこか遠くへ飛んでいってしまうのだから、恋というものは人を元気にさせるなぁ、と心から思う。
 彼女には初めて恋をした。一目惚れなんかじゃない。宴会の時に何度も話して、そこでの彼女のギャップに心を奪われたのだ。そして、守ってあげたいとも守られたいとも思える可愛さとかっこよさ。従者でありながら何色にも染まらない純真さ。真っ直ぐさ。彼女を私の色に染め上げたいと思う位に。そして、その笑顔。あの笑顔さえ見れれば、今日もまた一日乗り越えられそうな気がしてくる。それ程私は彼女の事を愛しているのだ。
 だが、現実は非情である。彼女に告白をしたら軽くあやされ……その後にOKを貰ったのだが、彼女と付き合う事に彼女の主も私の主も賛成してはいないのだ。恋人として会っているという事がバレたらどんな顔をされるかわかったもんじゃない。だから彼女も私もこうして逢世を重ねているのだ。
 ー誰もが眠りにつく、真夜中の、ペンキで塗ったような夜の黒。彼女はその先にある月に照らされながらやってきた。光輝く銀髪を揺らしながら、彼女は降り立つ。
 ー私は地面に足をつけた彼女をひし、と抱き締めて彼女の唇に口づけを落とした。言葉なんていらない。今この時だけでもいいから、彼女と通じあっていたい。
 これが、許されざる不毛な恋だったとしても。